【こんな症例も治りますシリーズ 489】 ワンちゃんの甲状腺がん も適切な診断と治療で治します

上の写真は、首の断面図のCT画像です。 上方が首の下側です。
★ 上方に見えるグレー部分が、『 甲状腺がん 』です。
★ 丸い黒い部分は、気管です。 その気管の周囲が全て『 甲状腺がん 』です。
★ このような甲状腺がんは、手術不可能です。 甲状腺がんの犬の25-50%が、手術で切除不可能であることをご存知ですか?
★ とにかく、シコリに気づいたら、早く病院に連れて来て下さい。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3qbmwcc

 

 

犬 柴犬 14歳 オス (去勢手術済み)です。

 

 

【 首の右側にしこりがある 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 場所としては、首の前方のアゴ下ですので、『 甲状腺 』の位置です。

 

 

■ 甲状腺ホルモンの濃度測定を院内で行ってみると、正常範囲を超えた高値でした。

 

 

■ 『 機能性の甲状腺がん 』が考えられます。

 

 

 

 

■■ 犬の甲状腺腫瘍はかなりの割合で『 悪性の甲状腺がん 』が多く、甲状腺ホルモンの上昇を伴う機能性腫瘍は甲状腺がんの10%ほどと言われています。

 

 

■ 甲状腺機能亢進症による臨床症状、多食、体重減少、多飲多尿などは幸い見られませんでした。

 

 

■ 甲状腺がんは放置しておくと、気管に近いため咳や嚥下障害、喉頭麻痺などの症状が出てきます。
また転移も起こしやすく、外科手術を第一に考えなくてはいけません。

 

 

 

■■ この時に有用なのが、CT検査です。

 

 

■ リンパ節転移の評価、またレントゲンでは分からない微細な肺転移の評価が可能です。

 

 

■ CT検査を行なってみると‥   甲状腺がんが血管に浸潤していました。 頸部には内頸静脈、外頸静脈、甲状腺静脈など、重要な血管が多数あります。

 

 

 

■ CT検査では、一番太い頸静脈と、気管の一部まで浸潤像が見られました。 これは、末期の巨大で悪性の甲状腺がんです。

 

 

 

 

 

■ 甲状腺がんの簡単な手術は、初期の浸潤が少ない腫瘤には適しています。 しかし、血管内浸潤や反回神経などまで絡めた、しかも今回のように気管との癒着が激しい末期の腫瘤に対して、厳密な完全摘出を行うには、気管を含めて大幅な範囲の切除が必要です。

 

 

 

■ 手術後は、頸部気管の途中に空気を取り込むカニューレをつけて、食事も口ではなく胃瘻チューブが必要になります。

 

 

 

■ かなり侵襲性が高く、術後のQOL(生活の質)の低下は否めません。。。

 

 

 

 

■ そこで、飼い主様とも相談し、今回は手術不適(手術をしても状態が悪くなる症例)と判断しました。

 

 

■ CT検査を行う事で、予後を予測し、いたずらに患者様を傷つけずにすんだ症例でした。

 

 

 

※ この子には、内科的な治療法の中で、当院独自の『 病気になっても元気になれる次世代医療 』を行う事により、あまり苦しく無い一生を送る事が出来ました。

 

 

■ 改めて、早期発見早期治療が重要なポイントだと思います。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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